横山恵子さま
ハーブやアロマを取り入れた生活を提唱されている横山恵子さん。
JAA(日本アロマコーディネーター協会)認定のアロマコーディネーターの資格をもち、豊富な知識を活かし、月に1回ハーブ教室をされています。
一方、「ウェル・ビーイング」の代表としても活躍され、鎌倉には横山さんを通して、「海の精」を使ってくださっている飲食店がたくさんあります。
海の精の人気商品「ハーブソルト」の生みの親でもある横山さん。今回は横山さんの地元である古都・鎌倉にお邪魔して、たくさんのお話を伺いました。
食べることが死ぬほど好き
私は子供のころ、11人の大家族で育ちました。戦後何もない時代だったので、食事は、大きなお鉢に入ったおかずが回ってきて、自分の分を取って回すというもの。あまりたくさん取ることができず、少しだけ取って次の人に回していました。だから、いつもお腹が空いていたの。
その飢えた経験から、食に貪欲になり、今の“食べたい欲”につながっているのだと思います。そして、その食べたい欲=おいしく食べることが、おいしく作ることにつながっています。
そんな私が、自然食にはまったきっかけは子供の病気でした。安全なものを食べさせたいと思い、逗子の自然食品店「陰陽洞」へ行ってみました。すると、「米と根菜と調味料は、安全ないいものを使いなさい。」とアドバイスされました。
それらは、すべて常備できるものだから、すごく簡単。だからすぐに取り入れられたのかもしれません。日持ちしない葉物や季節の野菜は、市場などでその都度買うようにして。この教えは、基礎の基礎として今もずっと守っています。本当に簡単にできることなので、是非みなさんにも取り入れてほしいと思います。
自然食と同時に、漢方も取り入れていました。漢方の先生からは、「子供の病気は急変するから、小児科と縁をきってはいけない。」と言われていたので、漢方と新薬を上手に取り入れながら。このようにして、おかげさまで子どもたちは皆、健康に育ちました。
ハーブとの出会い
その後、子供の手が離れたことや、フランス料理店の仕事をしていた主人が仕事を辞めたこともあって、自分の時間ができてきました。そこで、紹介してもらったハーブのお店で働き始めたのです。
その当時は、まだハーブもアロマも今ほど流行っていませんでしたが、そのお店にはほぼ全種類のハーブが、壁にずらっと並んでいました。今でも、あのお店に並んでいないハーブは見たことないくらい(笑)。
お店のオーナーがもともと看護師さんで、医療の方からハーブの道に入っていった方だったので、確かな知識がすごい方でした。たくさんのハーブのことを教えていただきながら、勉強をし、アロマコーディネーターの資格まで取りました。
それがちょうど50歳くらいのとき。学生以来の勉強だったので、もう脳が溶けるかと思いました。それくらい勉強しましたが、興味があることだったので、本当に楽しかったです。
その当時から始めたハーブのお教室は、現在でも月に1回開催しています。今も昔も変わらず20人以上もの方が参加して下さっています。みんなただ聞くだけのお勉強よりも何か作ったりする方が好きなので、ハーブを使った小物を作ったりしています。もう長いお付き合いなので、生徒さんから、こんなのがやりたいとかリクエストをいただいたりして、毎回楽しいです。
「ハーブソルト」誕生秘話
その教室で、生のハーブではなく、ドライハーブで「ハーブソルト」を作ろうという企画を考えました。ドライハーブで作るなら、さらさらとした塩がいいなと思って、そういう塩を探していました。ちょうどその時見かけたのが、色々なメーカーの商品を公平に比べるという雑誌の中の「塩の特集」。するとそこでは、「海の精」の塩が高い評価を得ていたのです。
そういえば、うちにも自然食品店で買った塩があるなと思って見てみると、なんとそれが「海の精」!これは何かあるなと思い、すぐに問い合わせの電話をしました。すると、ハーブソルトにおすすめの塩として、「やきしお」を教えてくださって。
届いた「やきしお」でハーブソルトを作ったら、とっても評判が良くて。もちろんハーブにもこだわっているけれど、ハーブソルトは、「海の精 やきしお」ありき。製品として劣化しにくく、塩の粒子が丁度いいので、振ったときに一緒に混ざりあってくれる、本当に優秀な「やきしお」です。
その後、私に興味を持ってくださって、「ハーブソルト」のブレンドを頼まれたことから、「海の精 ハーブソルト」が誕生しました。まず、あまったるいハーブが入ると、使える料理が制約されてきてしまうので、食事系のハーブを集めました。料理の邪魔をしない香りを集めて調合したのが最大のポイント。それで結局落ち着いたところが、バジル、オレガノ、タイム、パセリの4種でした。
そして、配合にも秘密が。子供でも妊婦さんでも、誰にでも使える配合を考えなければなりません。1パーセント違うだけで、変わってきてしまいます。試行錯誤の結果、行き着いたのが、今の配合比。
バジルを多くして、香りが継続するようにしました。料理をさっぱり、さわやかにしてくれる「ハーブソルト」は、何にでも使える優れものです。
直伝!「ハーブソルト」おすすめの使い方
洋食を作るときには、何にでも使っています。振り塩としても使えますが、殺菌効果や臭みを抑える効果が期待できるので、魚や肉の下処理に使うのがおすすめです。特に私は、魚であたってしまうことがあるので、必ず下処理で使うようにしています。
下処理や料理の邪魔をしないよう調合しているので、いろいろな料理の隠し味として使っていただきたいです。すると、料理がワンランクあがるんです!
また、ハワイに住んでいたときによく食べていたのは、「ロミロミアク」。アクはかつおのこと。さいの目に切った生のかつおにハーブソルトをたっぷりかけて、半透明になるくらいまで〆ます。それと、角切りにした玉ねぎとトマトに塩を振ったものを、食べる直前に合わせ、ハラペーニョ(メキシコを代表する青唐辛子)をかけていただきます。
お酒のおつまみにもぴったりだし、醤油を少しかければご飯のおかずとしてもおいしいです。普通の塩ではなく、「ハーブソルト」を使うことで、臭みがとれて、本当においしいおすすめの一品ができあがります。
大島製塩場で最高の月桂樹
大島の製塩場へ行ったのは、ちょうど椿祭りの時期でした。「ハーブソルト」の調合をして数年後だったと思います。その日は海が荒れていて、一便だけ出ていたジェット船に乗って向かいました。途中、あまりの大海原で船も休みたくなったのか、エンジンが止まってしまうほど。
その時はいつになっても空は見えず揺られ続け、船窓からは波の壁が見えました。そんな中、私は「ジェットコースターみたい!」と言ってはしゃいでいたみたいですが(笑)。一時間くらい海の中で停止し、その後エンジンが回復して、恐い思いをしながらも、ようやく大島に着いたのを今でも覚えています。
製塩場を見学させていただいて、本当に心が洗われたようでした。働いている方々が、一つ一つ真剣に手で作業している姿。若者が一生懸命釜から塩を取り上げているところ。なかでも、ハーブに混じった小さなゴミをしっかり見つけて、丁寧に取り除いている姿を見て、本当にすごいと思いました。なかなかできることではないと思います。
一番印象的なのは、元町工場に生えている月桂樹! この月桂樹は本当に最高です。香りの好みはあると思うけれど、あれほど香りの高い月桂樹に今でも出会ったことがありません。その話を寺田社長にしたら、たくさんの月桂樹を送ってくださいました。ハーブのお教室で、その月桂樹を使ったリースが大好評でした。煮込み料理などに欠かせない月桂樹。
リース状に月桂樹を丸く束ね、それをキッチンに飾り、使うときに1枚ずつひっぱって取れるようにしたもの。今でも、もう一度教室でやってほしいとリクエストがあるくらいです。
他のハーブには、守ってほしいことがあります。特にカモミールなどのハーブは、生で使うと感作を起こすこともまれにあります。生のハーブだと効果が強く出過ぎてしまうこともあるのです。なので、日陰で、そよ風程度の風が当たる場所でいいので、一度干してから使うことをおすすめします。
いろいろな職場で働いたことで、今がある
主人がやっていたフレンチレストランでのお手伝い、「ラ・マーレ・ド・茶屋」でオープンスタッフとして働いたこと、他にもいろいろなところで働き、人とのつながりができました。今でもその方々とつながっていて、そのお陰で今の仕事があると思います。
経験したことは何ひとつ無駄になりません。昔から、「通りたくない」と思う道を一つも作ってはいけないと思ってきました。それは、自分の大切な人が、いつどんなことでお世話になるかわからないから。どんな人にでも“礼”を持って接すれば、通りたくない道はできないと思います。
自分で立ち上げた会社「ウェルビーイング」も、そんなつながりに支えられています。この社名は大好きな本からとりました。「ウェルビーイング」=安寧…世の中が穏やかで安らかなこと。安心・安全な食にこだわりながら、食を通してみんなが健康に安らかに過ごせることを願って。
地元である鎌倉を中心に、食材の仲卸をしています。あまり知られていませんが、鎌倉には「海の精」を使ったお店が意外と多いんです。レストランやカフェ、スイーツ、パンに至るまで。鎌倉に来て、「海の精」巡りなんてことも楽しいですよ!
これからの活動について
実は、今後やっていきたいことは、ハーブよりも「塩」! これからは塩だけでいいと思っています。赤ちゃんが誕生する羊水も体液も塩水だし、人と塩は離れられるわけがないと思います。
何で塩?と思われるかもしれませんが、塩のことが好きなんです!理屈とかじゃなくて、身体の中からそう思います。今のお仕事を引退したら、塩に関わる何か、そんなことをしてみたいと思っています。
前から、塩の自販機があったらいいなと思っていました。塩のガチャポンとか楽しそうじゃない?それか家の前に小さなほったて小屋を建てて、小さな塩屋さんをやるのも良いかなと思っています。かわいいパッケージの塩や、バスソルトなどをお店に並べたいと思います。もちろん大前提で、売る塩は「海の精」です。
横山恵子(よこやま けいこ)プロフィール
JAA(日本アロマコーディネーター協会)認定のアロマコーディネーター。ハーブ&アロマを使った癒しを提案し、自らもハーブを取り入れた生活を実践している。
また、食材卸の会社「ウェル・ビーイング」の代表を務める。地元・鎌倉の飲食店や小売店を中心に、オリーブオイルや塩などの卸を行っている。
編集後記
今回、横山さんを通して、鎌倉にあるたくさんのお店と繋がりを持つことができました。前回インタビューさせていただいた、小町通りにある「なるとや+典座」さん。もともと「海の精」を使ってくださっていましたが、横山さんのご子息のお嫁さんが「なるとや+典座」さんで働いていらっしゃることがきっかけで、つながりができたそうです。
また、修学旅行生や観光客で賑わう小町通りを抜け、美術館に併設されているとあるカフェ。そこは喧騒から離れ、とても静かな素敵な場所でした。実はこのカフェでも、キッシュに「海の精」を使ってくださっているそうです。
さらに、鎌倉野菜を販売している市場のなかにある、フォカッチャが有名な「パラダイス・アレイ」さん。こちらではパンの生地に「海の精」を使っていただいています。生地がうまくあがらないと販売をしない、とてもこだわりの強いパン屋さんです。
そして、その市場から少し歩いたところにある、自然食品店「アロハス」さん。店内はとてもナチュラルな雰囲気で、買い物だけでなくお茶をするスペースもある素敵なお店です。こちらで販売している「潮風こみちクッキー」に「 ほししお」を使ってくださっています。こぶりなのに食べ応えがあり、かわいらしいパッケージで鎌倉みやげとしても人気の一品です。
横山さんと一緒に鎌倉を歩いていると、多くの方に声をかけられていました。鎌倉で生まれ育ち、多くの人とつながり、愛されているのだと感じました。
今まで何回も訪れたことのある鎌倉ですが、今回は雑誌に載っていないようなお店も教えていただき、驚きの多い一日でした。これからも横山さんを通じて、「海の精」がより鎌倉に根付いていくといいなと感じた一日でした。
インタビュアー:阿部絵理花(海の精)
- « イチカワ ヨウスケさま
- 清水徳行さま »