生活提案

伝統食育の食生活指針10ヵ条

私たちは、日本の伝統的な食事にもとづいた食育を「伝統食育」と名づけて、より具体的な食生活のポイントを「伝統食育の食生活指針」としてまとめました。これは何も難しいものではありません。これまで日本人がごく当たり前に大切にしてきた食の知恵をまとめたもので、だれでもすぐに簡単に実行できます。ほんのちょっと意識を変えるだけです。できることから、無理なく実行してみましょう。

① 食事は命を育み、保ち、癒すもの。

1-1
「食は命なり」と言われるとおり、毎日の食事が私たちの身心の健康を支えてくれていることに気づきましょう。
1-2
食物を与えてくれた自然や作ってくださった方たちに、感謝の「いただきます」をしてから食べましょう。
1-3
食事を同じくする家族、食卓をかこむ家庭を築きましょう。

② 主食と副食の割合をととのえよう。

2-1
主食は2分の1以上、植物性の副食は4分の1以上、動物性の副食は4分の1未満をめやすに、その日の出来事や体調に合わせて調節しましょう。
2-2
副食は含塩調味料(塩、醤油、味噌、梅酢など)などで、素材の特色を生かした調理にしましょう。
2-3
料理の品数を増やすよりも、食材の品質を向上する努力をしましょう。

③ 主食はご飯でしっかり食べよう。

3-1
できるだけ精白しない米(玄米、分つき米、胚芽米)や、雑穀(麦、粟、黍、稗など)を主食にしましょう。
3-2
主食は第一にご飯、第二に麺類とし、パンは嗜好により補助的に用いましょう。
3-3
穀物は単なるエネルギー源ではなく、人の血となり肉となる最良の素材であることを知りましょう。

④ 抽出、精製、合成されたものは避けよう。

4-1
高純度塩の使用を中止し、ミネラルバランスのとれた適純度塩に切り替えましょう。
4-2
高純度化された糖、油脂、アミノ酸などの使用は控え、精製度の低い本来の食品から摂取しましょう。
4-3
農薬、化学肥料、食品添加物はできるだけ避けましょう。水道水は塩素などを除去してから使いましょう。

⑤ お腹がすいてから食べよう。

5-1
食欲がないのに、むりして食べるのを止め、自然な食欲がわいてくる生活習慣を身につけましょう。
5-2
夜食や間食は、できるだけ少なくしましょう。お酒は食欲増進剤や会話促進剤くらいにとどめましょう。
5-3
ときには半断食で、体の機能をリフレッシュさせましょう。

⑥ よく噛んで、食べ過ぎ、飲み過ぎに気をつけよう。

6-1
「食べものは飲めるほどに噛み、飲みものは噛んでから飲む」を心がけましょう。
6-2
「腹八分に医者いらず」と言われるように、食べ過ぎに注意しましょう。また、食べた分だけ体を動かしましょう。
6-3
多雨多湿の日本では、余分な水分は控えましょう。のどが渇いたときに、うるおすように飲みましょう。

⑦ その土地、その季節の産物を食べよう。

7-1
できるだけ国内の産物や地域の産物、旬の産物を使いましょう。
7-2
輸入品などの遠方のものや、温室栽培などの季節はずれのものは、「ご馳走」として少なめに利用しましょう
7-3
味噌、醤油、梅干、漬物、納豆など、日本伝統の発酵食品を常食しましょう。

⑧ 食材は丸ごと活用しよう。

8-1
食材には、植物性、動物性、そして鉱物性(塩と水)があることを知りましょう。
8-2
植物や動物は、生きていた全体を利用するように工夫しましょう。塩は海水のミネラルバランスを大切にしましょう。
8-3
残った食材や料理を捨てるような、もったいないことは止めましょう。

⑨ 調味料と調理法で陰陽の調和をはかろう。

9-1
穀物、野菜、果物、魚、肉など、食材の陰陽を学んで、上手に組み合わせましょう。
9-2
調味料や調理法によって、陰陽は大きく変化することを習いましょう。
9-3
ちょうどおいしく感じる塩味が、その日のあなたの適塩です。むりな減塩は止めましょう。

⑩ 食生活習慣と健康の関係を観察しよう。

10-1
自分や家族の食事と体調の日記をつけて、食生活習慣と健康を点検してみましょう。
10-2
食生活習慣を正してみて、体調や体質、気性や気質がどう変化するか試してみましょう。
10-3
10歳までの食生活が、生涯の嗜好や運命に大きな影響を与えます。妊娠中から食育を心がけましょう。