西邨マユミさま

西邨マユミさま

海の精大島製塩場 来訪日:2009.6.8

マドンナのプライベートシェフを7年間つとめていた西邨マユミさん。現在はマクロビオティックシェフとして、より健康になれる“プチマクロ”を提唱されています。

そんな西邨さんは、5人兄弟の末っ子として、1周6kmほどの篠島で生まれ育ちました。ご実家が旅館を経営されていたため、仕事の邪魔にならないように昼間はずっと外で元気に遊んでいる活発なお子さんだったそうです。

とにかく魚が豊富だったため、もともと乳製品や肉は食べない、おかずは魚ばかりの生活をされていたとのことです。その後、突然マクロビオティックに目覚め、アメリカに渡りました。

そんな、今や、雑誌やテレビで大人気の西邨さんが、海の精大島製塩場の工場見学にいらっしゃいました。

人生を変えたマクロビオティック

19歳のころに読んだ『女のからだ』(合同出版)という本が私を気づかせてくれました。

女性の身体は海と同じ―。赤ちゃんは母親の海の中に宿るのです。いつか生まれてくる子どものために、羊水である海を汚してはいけないと強く思うようになりました。

ちょうどそんなとき、地元の海を泳いでいると、廃油ボールが浮いて流れてきたのです。ものすごいショックでした。自分の身体は自分で守らなければいけない。そのためには、口に入れるものから変えなければいけないと思うようになりました。まずはベジタリアンを少し試してみましたが、自分に一番しっくり来たのが「マクロビオティック」(以下・マクロ)という生活法だったのです。

『新食養療法』(桜沢如一著)に共感をし、思い立ったら吉日、本にそってすぐに始めてみました。水量をはかり、魚も食べず実践してみたところ、始め て10日ほどで朝になるともう寝ていられなくなってきたのです。そして、早く起きられるようになると、いつの間にか便秘や肩こりも治っていました。しっくり自分の生活にあっているうえに、効き目は抜群! これはすごいと思い、もう少し続けてみようと思ったのがはじまりでした。 今となっては、マクロビオティックは、私の“いのち”です。

“海の精”とわたし

海の精株式会社代表・村上譲顕と立体塩田をバックに。

海の精の存在を知ったのは、24年前。海の精とは20年来のお付き合いです。

マクロビオティックの第一人者・久司道夫先生の家で住み込みの料理人として働いているころ、アメリカで味噌作りをしていた方との出会いがきっかけでした。その方は、海の精の母体である日本食用塩研究会の大島製塩試験場で働いていた方で、海の精のことを色々と話してくれました。その時からずっと伊豆大島には来なくては! と思っていたのです。

そして今回、長年の想いがやっと叶いました! 実際大島に降り立ってみると、生まれ故郷の篠島を思い出し、なんだか懐かしい気持ちになりました。 一番印象に残ったのは、「立体塩田」。塩づくりを見るのははじめてだったので、「塩田」と聞いても想像できませんでしたが、すごくアーティスティックな建築できれいなのでびっくりしました。

あのひょんな海の精の話から、一時帰国した際に海の精を購入し、たびたび使うようになりました。今では、塩、麦味噌、紅玉梅干、紅玉梅酢を愛用しています。なんと、プチソルトも持ち歩き、たまになめているほどです!

マドンナさんとの出会い

マドンナさんから学んだことは、二つ。西洋人に、そのままのマクロをあてこむのは難しいということ。バックグラウンドによって、その人の祖先によって、方法を変えなければマクロは活かされませんでした。
ひじき、きんぴらにしても日本食そのままではなくサラダ風に工夫したり、全粒穀物はパンやパスタでうまく摂ってもらったり、久司先生に教わっていたものより塩・油の量を増やしたりとさまざまな工夫をして出していました。

もう一つは、自分自身にも磨きがかかったということ。すべてを完璧にやらなければいけない生活の中で、7年間彼女と「なれ合い」の関係になったことは一度もありませんでした。そういった状況の中で、料理の腕や審美眼に磨きがかかっていったと思っています。

自己制御、コントロールがすばらしく、さすがプロフェッショナル。そんな彼女だからこそ、どんなときでも、「ありがとう」と言えるのだと思いました。“ありがとう”はいつでも、“ありがとう”なのです。そんなマドンナのおかげで、がんや病気だからマクロを実践するのではなく、「健康で美しく、未病にマクロ」という認識が広まったのだと思います。

わたしのこれから

食品自給率が40%となり、このままでは取り返しがつかなくなってしまいます。日本の風土にあったもので、日本の食べ方や文化を作り、守っていかなければならないのです。

25歳でマクロの生活を始めるためアメリカに渡りましたが、いつかは日本に戻ってくるつもりでいました。 マドンナさんのプライベートシェフをして7年。マクロを始めると、10日で体調に変化があり、すっかり血液が変わったと思うのが3~4カ月。そして、細胞 までがすべて変わったと実感するのが、7年目。マドンナさんの細胞もすべてが変わった頃だと思いました。ちょうどいい機会だったので、ここで日本に拠点を移すことにしたのです。

自分は女である。マクロを教えたことがある。自身の子どもにもマクロを実践した。そして、世界的なスターにも。そんな経験を生かして、自分だからこそできることを次の人に伝えていこうとしています。

まずは子どもたちの大事な一食である学校給食を変えることができれば、地方行政の食に対する取組みが変わり、国も発展していくと思います。そして、皆が自分の身体は自分で守り、それを子どもたちに伝え、永遠に子孫を残す体制を作ってほしいと思っています。

海の精へのひとこと

いいものをずっと作り続けて、後世に残して欲しい―。どんなことがあっても、決していい加減なものだけは作らないでください。

私自身も、製造者・農家をサポートしていきたいと思っています。

西邨マユミ(にしむら まゆみ)プロフィール

愛知県篠島生まれ。82年に渡米し、マクロビオティックの世界的権威である久司道夫氏の元で学ぶ。83年よりクシインスティティュートベケット校の設立に参加。開校後、同好の料理講師および料理主任に就任し、同時にガン患者への料理指導を行う。01年マドンナの世界ツアー、ガイ・リッチー(映画監督)の ヨーロッパ撮影ロケに参加以来、マドンナ一家のプライベートシェフとして、ロンドン、ロサンゼルス、ニューヨークを中心に活動。08年より、本格的に拠点 を日本に移し活動中。

著書
『小さなキッチンの大きな宇宙』(カナリア書房)
『MAYUMIの世界一の美肌レシピ』(主婦と生活社)
『ハッピー・プチマクロ』(講談社)
『西邨マユミのプチマクロで美人ごはん』(マガジンハウス)

インタビュアー:下田ちひろ(海の精)