カノン小林さま
“明るく楽しいマクロビオティック、そして分かりやすい理論”をモットーに活躍するマクロビオティック料理研究家のカノン小林先生。
28歳の時に幼児能力開発の会社を設立し、その運営の途中に出会ったマクロビオティックで“食”の大切さに気づき、指導者になることを決意してからは、マクロビオティックの啓蒙に専念されています。その活躍は日本全国はもちろん、上海や香港で働く日系企業の奥様たちにもマクロビオティック料理を教えるほど。
また、ご自分の料理教室やリマクッキングスクールでは、自らインストラクター養成講座など企画・担当し、バトンのつなぎ役として、次世代のマクロビオティックリーダーを育てることに力を入れられていらっしゃいます。
今回は、カノン小林先生とリマクッキングスクールの料理スタッフの方々が、海の精大島製塩場の見学にいらっしゃいました。
どんな人にも「海の精」!
工場の中や人々が醸し出す“気”がなんともすがすがしいこと! 本当に製造業かと思うくらい、そこにビックリ仰天でした。居心地がとても良く、こんなすがすがしさを感じた職場ははじめてです。
それに、設備から機械、製法など、何から何まで“手づくり”ということに感動しました。いまどきこんなに手間ひまかけて鷹揚なことをしていてお仕事になるのかしらと心配になる一方、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
これだから、旨みのある塩ができるのだと納得できました。安心安全で、しかもこんなに愛情のこもったものを届けていただいていることに喜びを感じます!
私の料理教室では、10分前後の加熱をするときは「あらしお」とか、すいかにくっつける塩とか仕上げ間際に入れるのは「やきしお」と言うように、塩の使い分けをしっかり教えています。
「海の精」は、味がいいだけでなく、人の体に入った時にすごくなじみやすくて、他の塩と全然違う気がします。バランスが良くて、どの人にも使える塩が「海の精」。
赤ラベル(海の精 あらしお)が会員配布されていた頃からだから、20年以上もうずっと「海の精」しか使っていません。
料理は塩が決め手!
穀類や野菜と、塩類バランスの良い塩を使うとうんと料理がおいしくなります。塩の違いが一番分かるのは、「野菜の塩もみ」。実は私、塩もみの名人なんです。
「海の精 あらしお」を使って、野菜をきゅっきゅっきゅってして、一時間くらいプレスをかけておくだけのものすごくシンプルな塩もみ。この塩もみは「海の精」でないと、カノンママの味が出ないわけ。
スタッフのまかないに冷蔵庫にある野菜で塩もみを作ってあげると、必ずどうやって作るの?と聞かれます。けれど、作り方を教えてあげても絶対同じ味にはならないらしいんです。
まず聞くのが、「塩はどう?」
次に、「塩は海の精使っているの?」
そして、「塩の量は?」
あとは、「力の入れ加減と愛情だよ」と最後は冗談まじりに教えています。昔から料理で大事なのは、いい塩加減、火加減と言いますが、塩を使いこなせるようになってこそ達人。私はまだ40年くらい早いかもしれないけれど、気の置けないお弟子さんにはそう言っちゃっています。
やはり、野菜の旨みを引き出すのは、海の精が一番おいしいような気がします。もともと塩味が好きなのもありますが、醤油は最後に香り醤油程度にしなさいと教えるくらい、やっぱり料理は塩で決まるんです!
趣味の趣味で始めたマクロビオティック
もともと子ども時代は、玄米自然食で育っていました。けれど、本格的にマクロビオティックの食事を始めようと思ったのは、とにかくスポーツが強くなりたくて、エアロビクスのコンテストに勝ちたくてだったんです。
それなら「日本CI協会(マクロビオティックの創始者・桜沢如一氏によって創設されたマクロビオティック普及団体)」に行ってごらんと勧められたものの、マクロビオティック=正食ってなんだ? という感じでしたし、はじめは異様な雰囲気が嫌で嫌で、我慢しながら通っていました。けれど、いつの間にかだんだんと体も意識も今までと何かが違うことに気付き、どんどん引き込まれていきました。
そして、当時経営していた幼児能力開発教室でも食事改善を取り入れてみたところ、お受験を控えた子どもたちが変わっていったの。はじめは玄米食べなさいとまでは言えなかったけれど、とりあえず甘いものを減らすように言うと、どんどん有名幼稚園や有名小学校に受かっていったんです。
そして、砂糖を1年間止めるように勧めた年は、なんと90%以上の合格率まで行きました。教材研究をしてもなかなか効果を上げるのに難しかったものが、砂糖でここまで変わるのかと本当にびっくりしました。
新たな世界への一歩
このままいくと未来はどうなっちゃうのかなと思ったことから幼児教育を始め、33年が経ちました。
子どもたちを何とかしよう! と始めたものの、これからは、子どもを産む、育てる世代のママやパパたちが大事なんじゃないかと思い、やっぱり“食”こそ見直さなければいけないという考えに行き着きました。
実際に驚くべき成果が出ていましたが、薬科大学卒業のガチガチの理系である私は、ただ単にマクロビオティックがいいと言われても、科学的な根拠がないとどこか納得できないところがありました。だから、もっと理論が知りたいと思って、マクロビオティック第一人者のいるアメリカの久司学院まで行ってみようかなと思いました。そして、今までやってきた幼児教育は他の先生にまかせて、自らマクロビオティック指導者になることを決意したのです。
他人から言わせるともともと理屈っぽいところがあるそうですが、こだわりたいところはきちっとこだわらないと気が済みません。それがマクロビオティックだったのだけど、マクロビオティックは漠然とした理屈ではなく、理路整然とした理論で、とても自然科学的でした。ちゃんと一般の人にでもわかるという意味で理路整然としていて、そのマクロビオティックの考え方を世界に伝えなさいと教わったのです。その久司学院での教育に、なんてしっかりした教育体系なんだろうと感心しっぱなしでした。
この教育こそ日本に持って行こうと必死に勉強していたら、久司学院におけるクラスでアジア地域において唯一の“レベル4”まで進んでいたのです。
マクロビオティックを通して伝えていくこと
もっと口から入るものの重要性に気づいて欲しい。まずはそこから意識してもらいたいと思っています。
マクロビオティックは、難しくもなく、かけ離れたものでもないけれど、はじめからマクロマクロと理論ばかり言ってしまうと、そんなのやれないとか現実的じゃないと思われてしまいます。
なので、誰でもわかるように言葉を選んで平たくマクロビオティックの考え方を教えています。
「体が病気になったり、家庭内が不安定になったり、今起こっている社会問題はどこから起こっていると思う?」
「血液は何から出来ているのかしら?」
「それは食べものでしょ?」
「だから選ぼうよ! 食べものの大事さに気づこうよ! 昔から心と体はひとつのものと言われているとおり、体が整えば、もやもやした心もすっきりし始めるよ。」と。
一人でも多くの人に“気づいてもらう”ために、とにかく食べものに目を向けてもらえるように訴えます。
そして、先輩達から継承されてきたものを次の世代にしっかり渡すことが使命だと思っています。
カノン小林(かのん こばやし)プロフィール
カノンマクロビオティックスクール校長。リマクッキングスクール師範科 主任講師。久司学院講師。
幼児能力開発に30年間関わる中で、「食の重要性」に至る。アメリカに渡り、久司学院の久司道夫氏に師事。2003年にティーチャーズコース・レベルⅣを終了(アジア地域において現在ただ一人である)。セミナー、講演、料理教室、食事指導、執筆に力を注ぎながら、日本全国で玄米菜食の普及に奮走中。
著書
『美人のレシピ マクロビオティック雑穀編』(洋泉社)
『カノン小林のまくろ美 美人』(文芸社)
『マクロビオティック30分deフルコース』(ビジネス社)
『子育ては女を変える』(主婦の友社)
インタビュアー:下田ちひろ(海の精)