<6>減塩について

「おいしい」と感じる塩味が適塩!

1日に摂取すべき塩分は人によってまちまちで、「1日10グラム」といった数字で決めることはできません。というのは、必要な塩分は性別、労働、体質によっても異なるからです。

たとえば夏の炎天下で肉体労働をしている男性と、温度や湿度が調整された部屋でデスクワークをしている女性が、同じ塩分の食事をするというのは、無理があります。また同じ人でも、季節やその日の体調によって調整する必要があります。

それに「1日10グラム以下」といわれても、特別な食事制限などしない限り、塩分量を細かく計算することは不可能で、とても現実的ではありません。

では、何を基準に適塩を決めればよいかといえば、「おいしい」と感じる身体感覚です。体が冷えを感じたときや汗をかいたとき、体は塩分を必要としており、いつもより少し強めの塩味をおいしく感じます。逆に体が熱いときや静かにすごしているときは、いつもより少し弱めの塩味が落ちつくはずです。栄養学やさまざまな理屈から計算された数字ではなく、自分自身の「おいしい」という感覚にそった塩加減が、その日その時、体が必要としている塩分量です。では、何を基準に適塩を決めればよいかといえば、「おいしい」と感じる身体感覚です。体が冷えを感じたときや汗をかいたとき、体は塩分を必要としており、いつもより少し強めの塩味をおいしく感じます。逆に体が熱いときや静かにすごしているときは、いつもより少し弱めの塩味が落ちつくはずです。栄養学やさまざまな理屈から計算された数字ではなく、自分自身の「おいしい」という感覚にそった塩加減が、その日その時、体が必要としている塩分量です。

また体には、塩分をとりすぎると、渇きを感じて水分を補い、血液中の塩分濃度を調整する働きがあります。だから、ふつう、塩分過剰は起きないようになっています。自分自身の体や舌で「おいしい」と感じる塩加減を基準にして適塩しましょう。

適塩感覚を取り戻す

(1)海の精1%の海藻スープを飲んでみる
日頃、減塩のしすぎかどうかをチェックできるのが、このスープです。体液よりちょっと濃く、マイルドな塩味ですが、これがしょっぱく感じられる人は、減塩しすぎの可能性が高いです。少しずつ塩味を濃くして、体に必要な塩分の分かる、本来の味覚を取り戻しましょう。急に濃くすると適応できなくて、一時的に体調が乱れるので注意してください。

(2)おいしい塩加減の範囲は意外と広い
料理に海の精を入れていくと、あるとき急においしくなくなる境目があります。そしてさらに足していくと、しょっぱくて食べられなくなります。塩味のおいしさの範囲は、「上品な塩味が甘みと旨みを引き立てるおいしさ」の薄めから、「塩がしっかりきいているおいしさ」の濃いめまで幅があります。とくにカルシウムやマグネシウムやカリウムといった無機成分を含む海の精の場合、おいしさの範囲は広く深いのです。その範囲のどの塩加減でおいしいと感じるかは、あなたの体質やその日の体調、季節やその日の天候、ほかの料理とのバランスなどによって微妙に変化します。

塩加減は気分や体調に合わせて調節

(1)体を温めたいとき、元気を出したいときは海の精を多めにして塩気を強く
寒い季節、朝食、体を使った日、汗をたくさんかいたとき、疲れたとき、ケガをしたときや、体を冷やす食材(豆腐、コンニャク、豆、芋、きのこ、ナス、トマト、ジャガイモ、キュウリ、冬瓜など)を食べるときなどにも。よく煮込むとさらに効果的です。

(2)体を冷やしたいとき、リラックスしたいときは、海の精を少なめにして塩気を弱く
暑い季節、夕食、あまり体を使わなかった日、くつろぎたいパーティーのときや、体を温める食材(魚介類、肉類、卵など)を食べるときなどにも。あまり火にかけないと、さらに効果的です。

無理な減塩はいのちのルール違反

「健康のために減塩を!」といわれますが、塩の足りない料理には、おいしさも無機成分(ミネラル)も不足しています。それなのに無理して減塩を続けていると、食事がおいしく感じられず、食欲が落ちます。そして体に必要な塩分が補われないために、代謝機能や免疫機能が低下して、さまざまな不調の原因にもなり、気力も低下します。おいしい塩加減は元気のもとです。おいしく感じられない、無理な減塩は、体のためにも心のためにも止めましょう。

このように塩と健康に密接な関わりがあるのは、海と地球生命の誕生が深く関係しているからです。塩は単なる調味料ではなく、“海のエキス”であり、“いのちの源”なんです。

胎児はお母さんのお腹の中で十月十日(262日)をかけて、一つの細胞からヒトへと進化していきます。生命発生からヒトまでの30数億年の生命進化の歴史が、この十月十日に凝縮しているのです。そして誕生まで胎児を包む羊水は、生命が発生したころの古代海水と同じ成分で、生命進化の歴史はかつて住んでいた海の中で繰り広げられるのです。また、生まれてからも血液やリンパ液などはさまざまな無機成分(ミネラル)を含んだ体液で、ヒトはその海の中で細胞を保っています。

つまり、ヒトをはじめ動物は、生命が誕生した海とつねに深く関わることで、そのいのちを養い保っています。海なくして生きること、いいえ誕生することすらできません。そして、その海を保つために、人間は“いのちの塩”をとるのです。だから“いのちの塩”が足りなくなったのでは、体も心も元気をなくすのは当然のことなのです。私たちは“いのちの塩”は生命が誕生した古代海水と同じ、塩化ナトリウムだけでなく、さまざまな無機成分(ミネラル)が含まれたものと考えており、そうした塩づくりを続けてきました。

“おいしい”と感じることは人間の本能です。その本能に従って体調が良ければ、無理な減塩をする必要はありません。