<1>食材の選び方

食材は、おもに野菜などの生鮮食品と調味料や乾物などの加工食品に分けられます。 生鮮食品は、何よりも旬の新鮮なものがいちばんです。季節を先どりした“はしりもの”よりも旬のものの方が、栄養が豊富で、値段も安いので、お買い得です。なるべく地元や国産の旬のものを選びましょう。また、できるだけ農薬や化学肥料を使っていないものが安全で、栄養や味もすぐれています。そうした表示にも関心をもって選びましょう。

加工食品は、伝統的な製法でつくられ、食品添加物を使っていないものが、本来の味と働きをそなえています。加工食品を選ぶときは、一括表示の原材料名欄をよく確認しましょう。また、できるだけ製造方法の明記されたものを選びましょう。

とくに調味料は、高くても本物を選びましょう。思いがけなく感じられるかもしれませんが、もっとも大切なことの一つは、どんな塩を使っているかということです。海の精ブランドなどの日本の海水のみを原料に伝統製法で生産され、ニガリ成分を充分に含み、塩類バランスのとれた海塩を使ったもの選びましょう。そうすれば砂糖や化学調味料にたよらない、素材そのもの味を生かした料理ができます。

生鮮品はできるだけ身近なものをいただく

野菜などの生鮮品は何よりも旬の新鮮なものがいちばんです。そのためには国産のもの、できれば地元のものを選ぶようにしましょう。その土地で取れた作物なら、輸送のための時間がかからず新鮮なだけでなく、輸送費もかかりませんから値段も手頃になり、フードマイレージも少なくて地球にやさしいお買いものにもなります。また国産の生鮮品を選ぶことは国内自給率のアップにもつながります。

そして、できるだけ農薬や化学肥料を使っていないものを選びましょう。その方が栄養や味もすぐれています。それにそうした野菜であれば、葉も根も丸ごといただけるので、捨てるところがグーンと減って、生ゴミも少なくなり、とってもエコロジーです。最近は生産地だけでなく、生産者や栽培方法についても表示されるようになりました。そうした表示にも関心をもって選びましょう。

その土地の食品が体に合っている

いま日本では、簡単に世界中の産物や料理を味わうことができますが、その土地で採れたものはその土地で味わうのがいちばんおいしいです。たとえば東南アジアのスパイシーな料理やマンゴーのような南方の果物は、亜熱帯の蒸し暑さをしのぐのに適していて、あの暑さと湿気の中でいただくから、おいしいんですね。もし冬の北海道でそうした料理や果物を食べても、東南アジアで食べるほどのおいしさは感じないはずです。

塩は、なるべく早めに入れるように心がけてください。そうすると、豊富な無機成分が、素材の有機成分と結合して甘味と旨味を引き出し、生命力を高める絶妙なおいしさが生まれます(なお、小豆など素材によっては、やわらかくなってから加えた方がよいものがあります)。

旬のものがおいしいわけ

旬を辞書で引くと「魚や野菜どの味が最もよい季節」とあります。たとえば、山菜やたけのこの旬は春で、トマトやきゅうりは夏、里芋やれんこんは秋、ほうれん草やりんごは冬が旬と言えます。旬の野菜や果物などは、温室や農薬、化学肥料などの人工的な方法や薬品に頼らず栽培されているので、その作物が本来持っているエネルギーが充ちていて、安全でおいしく、栄養価も優れています。

いまトマトは一年中売られていて、付け合わせとしても彩(いろど)りがよく、年中お皿に盛られています。ただ、本当においしくて、栄養豊富なのは、夏の太陽をたっぷりも浴びた露地栽培の真っ赤なトマトです。盛夏の露地のトマトと冬のハウス栽培のものを比べると、カロテンは約1.5倍、ビタミンCも2倍近くあります。ほうれん草も冬の旬のものと夏場のものでは、ビタミンCが3倍違います。また旬の作物なら、たくさん収穫されるので、値段も安くて新鮮なものを手に入れることができます。

また旬の作物は、体の働きも助けてくれます。春の恵みである山菜に含まれる独特な苦みは、冬の寒さで縮こまった体をホッとゆるめて、ため込んだ老廃物や余分な脂肪の排出を促してくれます。トマト、きゅうり、なすなどの夏野菜は、水分やカリウムを多く含み、たくさんの汗が出せるようになり、冷やす力が強いので暑い夏を過ごしやすくしてくれます。作物の旬を知って食べると、その作物がいちばんおいしくいただけますし、体の働きも助けられて、快適に過ごせるんですね。ぜひ作物の旬にも関心を持って、食材を選びましょう。

本物の調味料選びのポイント

どんな調味料を使うかは、料理の味を決めるだけでなく、健康のためにもとても大切です。というのは、無機成分(ミネラル)の少ない「軟水」の日本では、昔から塩を始めとする調味料から重要な無機成分(ミネラル)をとっていたからです。ぜひ本物の調味料を選んでください。そうすれば、シンプルな調理でも、素材そのものの旨みが引き出されて、おいしく味わうことができます。

海の精が考える良い塩は、伝統製法でつくられた海塩で、さまざまな無機成分(ミネラル)がおいしく含まれていて、味もただ塩辛いだけでなく、甘みや苦みも感じられて、料理に深みが増します。
2008年4月から施行された「食用塩公正競争規約」によって、塩の表示ルールが定められ、パッケージには「製造方法」(原材料名・工程)が統一された用語で表示されることになりました。伝統海塩の場合、原材料名は「海水(原料産地名)」、工程は「天日、平釜」、焼塩なら「天日、平釜、高温焼成」とだけ表記してあります。そうした表示をよく確認して、国産の伝統海塩を選びましょう。

醤油や味噌も、商品の一括表示欄に表示された原材料名をチェックすると、伝統食品かどうかの判断ができます。醤油は「大豆、小麦、食塩」、味噌は「大豆、米、大麦、塩」だけで造られるのが、昔ながらの醤油や味噌です(米味噌は「大麦」を、麦味噌は「米」を、豆味噌は「米」と「大麦」を含みません)。
一括表示だけでは分かりませんが、伝統製法の醤油や味噌なら、じっくりと時間をかけて、麹菌の働きによって自然に熟成させています。1~3年の時間をかけることで、栄養豊富な大豆が消化しやすくなって、体に有効な成分も増え、旨みと独特な風味が生まれます。

この麹菌の自然な働きを助けるのが塩です。にがり成分を充分に含んだ伝統海塩を使っていれば、塩に含まれるマグネシウムなどの無機成分(ミネラル)が発酵を助けて、昔ながらの旨みと風味の豊かな醤油や味噌に仕上がります。こうした伝統の塩と調味料を使うことによって、砂糖や化学調味料にたよらない、素材そのもの味を生かした料理ができます。醤油や味噌もどんな塩を使ってつくられたものか、ぜひ関心を持って選んでください。