<2>調味料の使い方

海の精が提唱する基本調味料は、塩、味噌、醤油、梅酢、甘酒の5つです。

これらの含塩調味料は、素材の味を引き出しておいしく仕上げ、無機成分(ミネラル)を調えて栄養を吸収しやすくしてくれます。基本調味料がしっかりしていれば、そんなにいろんな調味料はいりません。かんたんで経済的に、おいしい料理が作れます。

塩は、なるべく早めに入れるように心がけてください。そうすると、豊富な無機成分が、素材の有機成分と結合して甘味と旨味を引き出し、生命力を高める絶妙なおいしさが生まれます(なお、小豆など素材によっては、やわらかくなってから加えた方がよいものがあります)。

海の精の上手な使い方

私たちがおいしいと感じる塩加減は、体液よりやや濃いめの1%前後の塩分濃度です。2%を超えるとしょっぱく感じます。塩分1%を目安に、自分の舌と体で素材のおいしさを引き出す塩加減を体得することが、料理上手への近道です。塩加減がわかるようになれば、味覚も健康もどんどん回復します。

和食の場合は、主食のごはんに塩分はほとんどありませんから、たとえば塩分2%のおかずとごはんを半分ずつ食べると、口の中でちょうど1%のおいしい塩分濃度になります。おかずの塩分が3%であれば、ごはんの3分の1にすればちょうどよくなります。

海の精の無機成分は、素材と結びつくことでよりおいしくなり、体内でスムーズに働けるようになります。それなので、なるべく早く海の精を入れて、20分以上加熱するか、漬け込むように心がけてください。海の精の無機成分が素材に染み渡って、素材の成分と結びついて、甘みや旨みを引き出して、生命力を高める絶妙なおいしさが生まれます。ただ、塩には素材をしめる働きがあるため、小豆のように乾燥したものはある程度やわらかくなってから入れた方がよい場合もあります。個別の使い方は、レシピカードに従って上手に調理してください。

おむすびやサラダのように、塩で素材を包み込むと、また違ったおいしさが味わえます。下味は混ぜる塩、仕上げは乗せる塩という感じで組み合わせると新鮮なおいしさが味わえます。下味には「海の精 あらしお」、仕上げには「海の精 やきしお」がおすすめです。

合わせ味噌のテクニック

味噌を合わせて使うと、おいしさの変化が広がります。
甘味のある玄米味噌と旨味の強い麦味噌との組み合わせは、絶妙のうれしいおいしさ。麦味噌と豆味噌を合わせると旨味とコクと香りが調和して、日常の味噌汁にぴったりの飽きのこないおいしさ。

冬に向けては豆味噌が多め、夏に向けては麦味噌が多めの配分がおいしく感じられます。ときには夏に豆味噌を多めにした味噌汁や、冬に麦味噌を多めにした味噌汁にすると、新鮮で体の引き締まるおいしさが楽しめます。

豆味噌は味を引き締め色味を濃くする調味料として、甘みそはまろやかな甘み、ひしおはコクのある甘みを加える調味料として料理に少し加えると、ぐっとおいしさの幅が広がり、満足度も高まります。

本物の調味料選びのポイント

どんな調味料を使うかは、料理の味を決めるだけでなく、健康のためにもとても大切です。というのは、無機成分(ミネラル)の少ない「軟水」の日本では、昔から塩を始めとする調味料から重要な無機成分(ミネラル)をとっていたからです。ぜひ本物の調味料を選んでください。そうすれば、シンプルな調理でも、素材そのものの旨みが引き出されて、おいしく味わうことができます。

海の精が考える良い塩は、伝統製法でつくられた海塩で、さまざまな無機成分(ミネラル)がおいしく含まれていて、味もただ塩辛いだけでなく、甘みや苦みも感じられて、料理に深みが増します。
2008年4月から施行された「食用塩公正競争規約」によって、塩の表示ルールが定められ、パッケージには「製造方法」(原材料名・工程)が統一された用語で表示されることになりました。伝統海塩の場合、原材料名は「海水(原料産地名)」、工程は「天日、平釜」、焼塩なら「天日、平釜、高温焼成」とだけ表記してあります。そうした表示をよく確認して、国産の伝統海塩を選びましょう。

醤油や味噌も、商品の一括表示欄に表示された原材料名をチェックすると、伝統食品かどうかの判断ができます。醤油は「大豆、小麦、食塩」、味噌は「大豆、米、大麦、塩」だけで造られるのが、昔ながらの醤油や味噌です(米味噌は「大麦」を、麦味噌は「米」を、豆味噌は「米」と「大麦」を含みません)。
一括表示だけでは分かりませんが、伝統製法の醤油や味噌なら、じっくりと時間をかけて、麹菌の働きによって自然に熟成させています。1~3年の時間をかけることで、栄養豊富な大豆が消化しやすくなって、体に有効な成分も増え、旨みと独特な風味が生まれます。

この麹菌の自然な働きを助けるのが塩です。にがり成分を充分に含んだ伝統海塩を使っていれば、塩に含まれるマグネシウムなどの無機成分(ミネラル)が発酵を助けて、昔ながらの旨みと風味の豊かな醤油や味噌に仕上がります。こうした伝統の塩と調味料を使うことによって、砂糖や化学調味料にたよらない、素材そのもの味を生かした料理ができます。醤油や味噌もどんな塩を使ってつくられたものか、ぜひ関心を持って選んでください。

醤油料理のテクニック

醤油は煮ると甘みが、焼くと塩味が出ます。野菜を醤油で調理すると、野菜の旨みと醤油が融け合うことで、複雑で濃厚な旨みが生まれます。

醤油の汁物や煮物は、火を止めてすぐはさっぱりとしたおいしさですが、数時間すぎると甘さが加わったやさしい味に変化します。旨みが強いと感じるときは醤油を控えて、海の精を入れるとバランスがとれます。おいしい醤油があれば、だしは必要ありません。

醤油は、油を合わせると濃厚なコクのある料理になり、酢を合わせると軽いさっぱりした味に仕上がります。調味の仕上げに醤油を加えれば、わずかな量でコクと風味が高まります。また、塩味の濃い梅干や漬けものに醤油を振ると塩味が和らぎます。同量の酒やみりん(と水)を合わせると、肉や魚の臭みをとり、おいしいつけ焼きのたれにもなります。醤油独特の万能な特長を活用しましょう。

梅酢など酸味食材の使い方

広く使われて酸味食材は、米酢などの醸造酢ですが、穀物と野菜が中心の伝統的な和食では、梅酢を主に使います。

梅酢は、梅干をつくるときにできる副産物で、青梅を塩漬けしたときに上がってきたエキスです。赤シソを入れる前のものを白梅酢、赤シソを入れ、紅色に染まったものを赤梅酢といいます。ともに梅に含まれるクエン酸などの有機酸と、漬け込んだ塩が含まれており、単に酸味があるだけでなく、塩分もしっかりきいた酢です。そのため、体を冷やしすぎず、健康にも大いに役立ちます。

使い方は醸造酢と同じで、酢のもの、寿司、ドレッシング、漬けもの、煮ものなどに幅広く使えます。赤梅酢なら料理に自然な紅色をつけることができて華やかに仕上がります。また水やお湯に入れれば、有機酸と無機塩類が補給できるヘルシーな健康ドリンクにもなります。

ときには旬のレモン、柚子などを搾った果汁を、サラダドレッシングやデザートづくりに使うのもいいでしょう。果物ならではの新鮮な香りや風味が、季節感とともに料理を一層おいしくしてくれます。

米酢など広く使われる醸造酢は、塩気を入れず酸味のみを料理に加えたい場合に使います。醸造酢は、昔ながらの伝統製法でつくられた、安全なものを選びましょう。伝統製法のものは、単に酸っぱいだけでなく、さわやかな香りと豊かな風味があります。ただ醸造酢は梅酢に比べると体を冷やす作用があるので、とくに菜食の方は控えめにしましょう。

甘味と旨味をプラスしてくれる甘酒、純米酒、純米みりん

日頃の料理は、塩、醤油、味噌、梅酢の含塩調味料があれば十分おいしくできますが、もう一つ甘味旨味をプラスしたいときは、甘酒、純米料理酒、純米みりんを使います。どれも米を発酵させてつくられた、日本伝統の発酵食品です。

甘酒は、米に米麹を加えて加熱してつくった日本の伝統的な甘味飲料です。甘みのもととなるブドウ糖が20%以上、そのほかにも必須アミノ酸やビタミン類もたっぷり含まれています。夏バテ防止や冷え対策になり、腸内環境もととのえてくれる、健康と美容によい飲みものですが、甘味食材として料理やデザートづくりにも活用できます。

純米料理酒は、米と米麹だけでつくられ、醸造用アルコール、糖類などを添加していないものです。アミノ酸やビタミン類がたっぷり含まれていて、それ自体に旨みがあります。料理に少量使うことで、素材の旨みを引き出しながら、純米料理酒の旨みを加えることができます。また日本酒のアミノ酸には抗菌・防腐効果があるため、料理を傷みにくくして保存性もアップします。

純米みりんは、もち米、米麹、本格焼酎でつくられたもので、やはり醸造用アルコール、糖類、化学調味料が含まれていないものです。ただ甘いだけでなく、米の旨みが豊かで、お酒としても通用するおいしさのあるものが純米みりんです。すっきりした自然な甘みとコク、照りやツヤを料理に加えてくれます。

純米料理酒、純米みりんはともに煮もの、鍋もの、だし汁や麺つゆ、魚や肉の臭み消しや風味アップに活用できます。