<3>主食について
主食は私たちの体をつくり、毎日の活動のエネルギー源となるものです。
日本では粒のままの穀物(ごはん)を主食としてきましたが、これは栄養バランスに優れ、エネルギー代謝もよく、理想的な主食といえます。なかでも米は、日本の風土と日本人の体にとてもあっています。こうした粒の穀物(玄米、分づき米、ひえ・あわ・きびなどのごはん)を主食の中心におきましょう。
穀物を粉にしてつくられたウドンやソバ、パンやスパゲティーなどは、ときどき補助的にいただくぐらいにしましょう。
食事全体の少なくとも半分を主食にすると、消化効率がよくなり、エネルギー代謝がスムーズに進みます。これは人間の歯の構成からも裏づけられた比率です。
日本の温暖湿潤な気候や無機成分(ミネラル)の少ない土地は、稲作に適しています。収穫されたお米も、湿気が多くても長期の貯蔵ができるもので、日本の風土に適しています。お米の甘み、粘り、香りといった風味は、四季折々の豊かな野菜や海藻、魚介類などの副食とも調和し、日本人にとって決して飽きることのない食べものです。
私たちは、そうした日本の風土に根づいたお米を主食にしてきました。こうした長い民族の食の歴史から、私たちの体は穀物を消化吸収しやすくなっています。とくに腸は欧米人に比べて1.2倍の長さがあるといわれ、穀物菜食向きです。さまざまな面から日本人にはお米がいちばんなんですね。
お米は玄米がおすすめ
最近、玄米を食べる人が増えてきていますが、その魅力は何といっても栄養が豊かな点にあります。収穫したお米からもみ殻を取っただけのものが玄米で、栄養分の多いぬかや胚芽が含まれています。主成分の炭水化物だけでなく、タンパク質、食物繊維、ビタミンや無機成分(ミネラル)がバランス良く含まれていて、それだけで栄養バランスがとれています。そのため白米に比べると、少ないおかずでも満足できて、シンプルな献立でも充実感のある食事になります。
また、“おいしいから”玄米を食べるという人もいます。玄米には、白米にはない風味やおいしさがあります。上手に炊けば、もっちりとしたごはんに仕上がり、噛むほどに甘みが感じられて、味わい深く、こくのある満足感があります。
健康や美容にも玄米は役立ちます。豊富な食物繊維は便秘の解消に効果的で、腸内環境を整えてくれます。自然とよく噛んで食べるので、食べ過ぎが防止できます。また、玄米食の場合、動物性食品や脂っこいものを避けるようになるので、自然と低カロリーになります。
このように粒を丸ごといただく玄米ごはんは、理想的な主食といえます。
ただ、なかには玄米がおいしく感じられない、食べにくいという方もいらっしゃるかと思います。そういう方は、分づき米にして、粒の雑穀(きび、あわ、ひえなど)を加えていただきましょう。なお、分づき米は酸化しやすいので、家庭用の精米器で精米したてのものを炊くと良いです。そうすると分づき具合も調整できます。
人間の歯の構成から見る食性
歯の構成比を見ると、その生物の食性が分かります。人間の歯は32本あり、臼歯が大小合わせて20本、切歯が8本、犬歯が4本。割合でいうと臼歯が62.5%、切歯が25%、犬歯が12.5%です。もともと臼歯は主に穀物をすりつぶすための歯、切歯は野菜類を切るための歯、犬歯は魚や肉を食いちぎるための歯だったと考えられています。このことからも、人間にとって最もふさわしい食物が穀物であることが分かります。
またこの割合が、食事の主食と副食のバランスを教えてくれています。まずは、食事の半分をごはんにすることを意識してみましょう。最近はおかず中心の食事が多いですが、ごはん中心の方が消化効率が良く、エネルギー代謝もスムーズです。ごはんを一口いただいたら、おかずを一口。このリズムでいただくと、自然とごはんとおかずが半分々々になります。この割合の食事を続けていると、だんだん体がスッキリと整ってくるのが感じられるはずです。ぜひやってみてください。